壁の向こう

参加型モータースポーツをやってると、誰もが一度は遭遇するであろう
その種類やレベルの差は有れども、ビギナーに多いのが「自分では特に何処が悪いとも思わないけど、タイムが出ない」と言う人ではないだろうか?
第1段階の壁と言った感じでしょうか。
そう言う人って、殆どの場合、自分の中に壁を築き上げている人だと思うんです。
僕も、昔、そうでした。

92年春、それまで乗っていたEP71(NA) から、EF-8 に乗り換えました。兄の乗っていた中古ですけどね。
それでも憧れのホンダ車、憧れのCR-X!
しかし、車が違いすぎる為、最初の2ヶ月くらいは車に慣れるので精一杯でした。
当時はライセンスを取る前だったので、草ジムカーナに参戦する程度でしたが、練習には行きました。
AW11 に乗る知り合いと一緒に備北(旧コース)に行ったりと。そこで、僕はコーナー入り口からフルカウンターで進入するドリフト走行という物を、AW11の助手席で初めて体験させて貰った。
ただ、彼はきっかけにサイドを引くという邪道ではあったが、僕にとっては走りのイメージを一新する貴重な体験だった。
でも、それは駆動方式も乗り方も違うので、直接参考になる物ではなく、視覚的にカルチャーショックだっただけだ。
事実、その後も飛躍的な進歩は僕に無かった。

しかし、僕のレベルをそれまでより確実に引き上げた事件が起きました。

とあるショップの練習走行会に参加したときの事。
練習走行会ですから、基本は練習なんですが、タイムアタック形式で数本走るってやつです。レベルは低かったんですけどね。
その日はあいにくの雨。
そして、その日最後のアタック。
それまで、僕はトップタイムか2位くらいのタイムだったと記憶してます。
その時、何とかもっとタイムを縮めたいと思っていたんだけど、何処を縮めれば良いのか分からずに居たのだが「とにかく攻めるのみ!」と自分に言い聞かせスタート。
スタートして1,2速と来て下り坂で鋭角コーナーと言う所。 気持ちよく2速に入れたは良いがブレーキングのタイミングが遅れた。慌てて急ブレーキ。
やば!こんなスピードじゃ止まりきれん!しまったぁ〜〜〜〜!!!
ところがだ、何事もなかったかのように車はコーナー進入に適切な速度まで減速し、何事もなかったかのようにコーナーをクリアした。
「へ? マジ!? 何だ、止まれるんじゃん!」
壁を一つクリアした瞬間である。

その日、ブッチギリのオーバーオールタイムで優勝を決めた。


昔、名人森田こと森田勝也が、ある雑誌で書いていた記事を思い出した。

あるコーナーを、例えば50km/h で上手く曲がれないと言う生徒が居たら、僕は「じゃぁ、55km/h で曲がってみなさい。」と言う。すると、生徒はアンダーやオーバーを出しながら「やっぱり上手く曲がれません」と言う。そしたら「じゃぁ、60km/hで曲がってみなさい。」と言ってあげる。すると生徒は「無理ですよ!」と言う。
「まぁ、良いから走ってみなさい。」
渋々生徒は走り出すが、当然上手く曲がれるはずもなく、最後にはスピンした。
「やっぱりダメじゃないですか」と言う生徒に、僕は「じゃぁ、もう一回、50km/hで走ってご覧なさい。」と言う。
すると、今度は、今までどうしても上手く曲がれなかった生徒が、何事もなかったかのように綺麗に曲がっていくんですよ。
つまり、それまでの限界を一度高い所まで引き上げてやる事で、今まで限界だと思っていた所は限界では無くなるんです。

まさしく、これだったのだ。
僕は、自分で「ココが限界だ」と決めつけていた。ホントの限界はもっと向こうに有ったのに・・・・。



最近、僕の所属するクラブは人数も増えてきたし、まだまだ駆け出しの選手も多くいる。
そんな彼らも含めて周りの皆は僕の事をこう言う。

住吉さんの走り方はおかしいよ。FFなのに何でドリフトするんですか?
そんなん、絶対おかしいって!

確かに、ドリフトさせる事自体はタイムダウンに繋がるかもしれない。
でも僕には僕なりの哲学が有るのだ。だからいつもこう言うんです。

何を言うか!練習の時には、これでもか!って言うくらいにドリフトさせれば良いんだって!
そうすれば車の限界も分かるし、マシンコントロールも上手くなるじゃんか。
で、本番の時は、その一歩手前で走れば、走りに余裕も出るし、早いアクションでアクセル開けれるから速いやろ?

それに、何と言っても、ドリフトさせるのって楽しいやんか!
俺、ジムカーナ的な「ちまちました走り」って大嫌いなの!

えぇ、楽しいのが一番なんですわ。はっはっはっは。(^^;;;;

とは言え、自分の殻を破る事はステップアップの第一歩であることは間違いないです。

伸び悩んでる方、自分のを取り去ってみては如何ですか?
そう言ってる自分が一番伸び悩んでいると言う事は内緒です。(爆)


お後がよろしいようで。